升永ブログ

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一人一票を実現する簡単な方法

日本を民主主義国家に変える簡単な方法

 

     アンケートにご協力下さい。

 

第1 はじめに

最高裁判事に対する国民審査権 は、

 

選挙権以上の参政権です。

 

男は1票女は0.8票という選挙法があったとしましょう。

この選挙法を升永判事(仮称)は合憲とし、木下判事(仮称)は違憲という意見だとしましょう。

最高裁の国民審査の投票の時に、100人の女性の中の100人が升永判事合憲派に不信任の投票をするでしょう。

 

有権者一人あたりの衆議院選挙での選挙権の価値は、高知3区を1票とすると、下記のとおりです。

2008.9.2付総務省資料:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/pdf/081225_11.pdf

 

例えば

 

東京    0.5票の価値

 

摩訶不思議なことに、(公職選挙法上実質的にみて0.5票の価値の選挙権を割り当てられている)「一人前扱いされていない」東京の有権者は、過去62年間、国民審査権の行使の際、合憲派の裁判官に対して、不信任の投票をしていません。

 

その理由は、(現行の公職選挙法で1票未満の価値の選挙権しか与えられていない、いわば「一人前扱いされていない」)有権者が、各最高裁裁判官が『合憲』意見の合憲派であるのか、『違憲』意見の違憲派であるのかを知らされないまま、国民審査権を形式的に行使したことと、されているからです。

 

各政党は、有権者に対しその選挙権行使の判断材料を提供するため、マニフェストを公表します。

各最高裁裁判官も、国民審査の毎に、1億人余りの有権者のうちの6000万人を越える実際に投票場に足を運んでいる有権者に、「信任」、「不信任」の判断を仰いでいます。

従って、各裁判官は、国会議員と同様に、有権者に対し、「信任」、「不信任」の判断材料を提供すべきです。その提供すべき判断材料の重要な1つが、自らが「合憲」意見なのか、「違憲」意見なのかという情報です。各裁判官は、6000万人を超える、投票場に足を運んでいる有権者に対し、自らの信任、不信任を問う以上、この「一人一票」問題についての自らの法律家としての意見を堂々とマニフェストしたうえで、1億人超の有権者の信任、不信任を問うべきです。最高裁裁判官の多数派は、1億人超の有権者の信任を得ているからこそ、国会で制定した法律を憲法違反として無効とし得る強力な力(憲法79条)を持っているのです。

 

今年の89月に予想される国民審査の対象となる最高裁判事は、9名です。その内、


那須弘平判事、涌井紀夫判事は、いずれも、

 

「公職選挙法の選挙区割の定数の定めは合憲」との意見を判決で示しています。

 

宮川光治裁判官《元弁護士》、竹内行夫裁判官《元外務次官》、近藤崇晴裁判官《元裁判官》、竹﨑博允裁判官《元裁判官》、金築誠志裁判官《元裁判官》、櫻井龍子裁判官《元労働省女性局長》は、意見が不明です。


 

民主主義とは、有権者のレベルでの多数決によって、立法し、首相を選ぶことです。

 

有権者のレベルでの少数決で、立法し、首相を選んでいる現在の日本は、民主主義国家ではありません。

 

「実際に投票する有権者が、一人ひとりの裁判官が、現行の公職選挙法を合憲とする意見なのか(合憲派)、違憲とする意見なのか(違憲派)の情報を知ったうえで、裁判官の信任、不信任を判断するための国民審査権を行使すること」により、日本を有権者のレベルでの多数決で立法する国(即ち、民主主義国家)に変えることが可能となり得ます。

 

下記のアドレスから簡単なアンケートに参加できます。

アンケートの回答者が、1000人、100万人になれば、この運動は成功です。

アンケートに参加する人の数を増やす運動に参加して下さい。

 

(アンケート)  https://blg.hmasunaga.com/sub2/question.html

 

(第2以降は、5/25日付朝日新聞グローブ版16号(G-6)とほぼ同文です) 

 

第2 日本は民主主義国家ではない

 

 在米中、筆者は、大統領の指名した最高裁判事候補を議会が承認するか否かを巡って、マスコミがその最高裁判事候補が過去関与した判決の内容、共和党支持か民主党支持か等々の情報を大量に国民に流し続けることに驚いた。国民は、裁判所が憲法違反を理由として法律を無効に出来るという強大な権限を有していることを良く知っており、どういう法律家が裁判官に選ばれるかに、大いに関心があるのだろう、と納得した。

 

 選挙法によれば、衆議院選挙では、ある地方の有権者が、一人当たり1票の価値のある選挙権を持つのに対し、ある都市の有権者が一人当たり0.8票の価値の選挙権を持っている。又、参議院選挙では、ある地方の有権者が一人当たり1票の価値のある選挙権を持つのに対し、ある都市の有権者が一人当たり0.3票の価値の選挙権を持っている。

 これが「一票の格差」の問題である。

 

    「一票の格差」のため、全有権者の過半数に達しない、地方の有権者から選出された国会議員が、国会で多数を占めている。即ち、有権者のレベルでの少数決で、全ての法律、予算が定められ、行政府の長が決定される。

 

    民主主義とは、国会議員レベルでの多数決ではなく、有権者のレベルでの多数決により、立法がなされ、かつ行政府の長が決定されることである。

     そうだとすると、日本は、民主主義国家ではない。

 

    米国連邦最高裁判決(1964)は、アラバマ州の選挙法を違憲・無効とした。当時のアラバマ州の選挙法は、黒人が多数住んでいる選挙区の1票と白人が多数住んでいる選挙区の1票に、格差を設けていた。この米国連邦最高裁判決により、米国人は、白人であれ、黒人であれ、住所の如何を問わず、一人一票の選挙権を得た。

    米国は、独立戦争を経て人類史上初めて民主主義国家を創り上げた。その米国ですら、住所の差異によって生じる一票の格差の問題を選挙によって解決できなかった。司法が、これを解決した。この歴史的事実は、『司法が国家に対して果たさなければならない重い使命が何であるか』を雄弁に物語っている。

 

第3 日本を民主主義国家に変える『簡単な方法』

 

    最高裁は、違憲立法審査権を有している。最高裁が「一票の格差を定める選挙法は、違憲である」との判決を下せば、その最高裁判決によって、選挙法は無効となる。

    日本人が皆「一人一票」を持つようになれば、有権者の過半数が国会議員の過半数を選ぶことができる。そうすれば、日本は、「多数決」のルールで、立法をし、行政府の長(首相)を選ぶことができる。

    この違憲立法審査権が、日本を多数決のルールで、立法をし、行政府の長を決定する民主主義国家に変える『魔法の鍵』である。

 

 1票に満たない選挙権を与えられている有権者が日本の全有権者の過半数を占めている。それにも拘わらず、これらの有権者の多くは、衆議院総選挙毎に行われる最高裁判事に対する国民審査権の行使の際に、「一票の格差を定める選挙法は合憲・有効である」との判決に賛成した合憲派の最高裁判事に対して、「不信任」の票を投じていない。この事実は、「合理的な人間は、自己の利益に反するような判断をしない」という基礎的命題に反している。

    このような基礎的命題に反する摩訶不思議な現実は、有権者が、国民審査の対象となっている個々の判事が合憲派、違憲派のいずれであるかという情報を知らないまま、最高裁判事に対する国民審査権を形だけ行使してきたことによって生じたものである。

    有権者が、国民審査の対象となっている個々の最高裁判事が合憲派の判事、違憲派の判事、意見を明らかにしていない判事の何れであるかという情報を知った上で、この最高裁判所判事に対する国民審査権を行使しようという、「一人一票」運動が国民の間に広がることが必要である。

 

    運動が対象とする人々は、これまで選挙で選挙権を行使したことのある有権者である。選挙に行ったことのない無関心層は、この運動のターゲットから除く。運動の対象は、既に選挙権を行使したことのある人に限る。

    筆者は、今月コーヒー店の女性3(大卒2名、高卒1名)に質問した。そのことを、紹介したい。

    3名は、全員都民であり、かつ衆議院選挙に行っていた。

 「選挙の時に最高裁判事に対する国民審査の投票用紙に何か記載したことがありますか」と質問したところ、3名共、答えは「否」であり、国民審査が何であるかを知らなかった。

    「あなたの選挙権が0.8票の価値しかないことを知っていましたか?」と質問したところ、全員「1票持っていると思っていた。0.8票とは知らなかった。ヒドイ!」という答えであった。

    「最高裁判決は、各都民の選挙権は、一人0.8票の価値しかないと定める選挙法は違憲ではない、としています。山田判事(仮称)は、この判決に賛成した合憲派です。鈴木判事(仮称)は、今の選挙法は違憲・無効であるとして、この判決に反対した違憲派です。あなたは、国民審査権を持っています。この2人の判事のいずれの判事に対しても、不信任と考えれば、不信任の投票をすることができます。どうされますか?」と質問すると、3名共、「山田判事(仮称)に不信任の投票をします」と回答した。

    今度の総選挙の時に、国民審査があります。どの判事が合憲派であるかわかっていれば、合憲派の判事に、不信任の印を付けますかと質問すると、全員、合憲派の判事に不信任の印を付けます、と回答した。

    筆者は、最後に、「インタビューでは、都民は0.8票の投票権と言いましたが、真実ではない。真実は、それぞれ衆議院議員1名を選出する徳島県1区と東京都6区の有権者の数は、12の差があります」と説明した。

    これまで選挙権を行使してきた有権者は、選挙権が重要な権利であることを知っている。自分の選挙権が0.8票と初めて知った有権者は、他人から説得されなくても、「自己の選挙権の価値は、0.8票」という意見の山田判事(仮称)を支持しないであろう。運動に賛同する有権者は、いずれにしろ選挙に行くのであるから、選挙の時に、ついでに山田判事(仮称)に不信任の投票をするだけである。その意味で、賛同者に、何の負担も掛けない運動である。「一人一票」の問題点に気のついた各有権者が、同じインタビューを他の3人に行えば、次々とインタビューを受けた人が国民審査権を行使するようになる。このようなインタビューの輪が次々と広がっていけば、この運動は成功する。

    そうだとすると、『一人一票』運動のハードルは、極めて低いと考えられる。

 

    一人0.8票しかない0.8人前の日本人も、一人一票ある一人前の日本人もいない。皆、「一人一票」の同じ日本人である。

    日本人は、国民審査権を初めて意識的に行使することによって、日本を民主主義国家にするという歴史の一頁を開くことができる。現在の日本と将来の日本のために。

以上

COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. 初めまして。「一票の格差を考える会」の熊井 章です。升永弁護士のおっしゃることは私どもが長いこと主張し活動してきた趣旨と全く同じです。このブログの活動がどんどん広まって行くよう、期待しています。

  2. コメントをお寄せいただき大変有難うございました。
    アンケートの回答者を、1000人、100万人にすることを目指しています。そのためには、1人が他の10人の人にアンケートに回答するよう呼びかけることが必要だと思います。
    「一票の格差を考える会」のメンバーの方々とともにこの運動を成功させようと思っています。
    憲法裁判を始めます。本ブログで情報を公開していきます。

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  5. >升永弁護士
    フリーライターの長嶺です。
    先日は、メールを頂戴しまして、感激いたしました。ありがとうございます。
    ようやく、当方の国民審査に関する判断資料サイトができあがりましたので、ここにお知らせいたします。
    お約束のとおり、「一人一票」問題に関する解説ページから、そちらのアンケートページへのリンクも張らせていただきました。
    国民審査まで、残すところ1カ月あまりですが、盛り上げの相乗効果の一端に、私も加えさせていただけますと幸いです。
    今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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