升永ブログ

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遂に、「一人一票判決」がでました。

前回ブログを更新したのは11月17日の東京高裁違憲判決が言渡された日でした。

あれから約2ヶ月が経ちました。

私共全国弁護士有志グループは、全国14高裁・高裁支部で、15裁判体(東京高裁は2事件が係属しました)の一人一票(参院)訴訟を行っておりますが、その結果は、新聞報道にもあるとおり、現在12勝0敗。

1/28、福岡高裁で、史上初めて、「一人一票判決」が誕生しました。http://www.ippyo.org/pdf/hanketsu/fukuoka20110128.pdf

廣田判決はこう述べています。長くなりますが引用します。(判決文12頁下11行~131行)

「 憲法は、上記の点については、参議院議員につき、三年ごとの過半数改選を定めているにすぎず、都道府県単位の選挙区の設定及び定数偶数配分性は憲法上に根拠を有するものではない。さらに、憲法は制度としての地方自治を定めているが、都道府県がその憲法上保障される地方自治制度自体に該当しないことは憲法の解釈上明らかである。

 また、現在の都道府県は、その制度が定められてから相当の期間が経過しており、その間の交通・通信の手段の発達、産業規模や構造や国民の生活様式の変化並びに居住圏の広域化や人口分布の変化等により、必ずしも都道府県単位で参議院議員の選挙区を構築する合理的根拠は、消失ないしは希薄化していることは明らかなところである。

 ・・(略)・・・前記のとおり憲法上の要請ではない都道府県単位の選挙区を維持するために、憲法上の要請である投票価値の可能な限りでの平等の実現を妨げることになっていて、許容しがたい現状にある。

 

  裁判に提出された臼井レポートは、参院選選挙区につき、10ブロック制とし、現行の選挙区割方法を採用した上で(但し、県境をまたぐという点で異なる)、選挙区割りを試みており、それによると、投票価値の最大不平等は、1票対0.99991票。

臼井レポートでは、町、村、丁目を最小行政区画として尊重していますが、廣田判決の「憲法上の要請である投票価値の可能な限りでの平等の実現」が必要であるとの判示は、私共の区割案での町、村、丁目の最小行政区画を、更に細分化し、実行可能な範囲での人口比例による選挙区割りを要求していると解釈できます。

この「実行可能な範囲での人口比例による選挙区割」の考え方は、1983年の米国連邦最高裁Karcher判決(1票対0.993票の最大不平等の選挙区割りを違憲無効と判断した)の趣旨と同じです。

この判決は、正に、「法の支配」による民主主義国家の判決と言えましょう。

20095月、一人一票実現運動を始めた当時、その1年半後に、参院選についての裁判で「一人一票判決」が出るとは、はっきり言って想像もしていませんでした。

それは、昨年末に西岡参院議長が提出した参院制度改革案についても同じです。これについてもブログでお伝えしたいことがありますが、次回以降に改めます。

一人一票訴訟(参院)訴訟の判決言渡は、残すところあと3件。

違憲判決も違憲状態判決も、国会の違憲を正すための期間を零と見るか、未だ残っていると見るかの違いだけで、現在の選挙区割りが違憲であると判断していることに変わりはありません。重要なのは、違憲とする根拠が「○倍だから違憲」ということではなく、「人口比例の選挙でないから、つまり一人一票の保障の下の選挙でないから違憲」という判決なのか、なのです。

私達は、一人一票判決以外は、ダメです。

そして、1/28の福岡高裁判決は、「(実行)可能な限りでの平等の実現」が憲法上の要請であると判断した、史上初めての「一人一票」判決なのです。

 

尚、一人一票実現国民会議は、2/6(日)に、日経、朝日、読売(全国版朝刊)、北海道新聞(朝刊)で再度全面広告を出します(但し、朝日の大阪版のみ13日の掲載になります)。全国不平等マップと国民主権についてのメッセージです。

是非ご覧になって、感想を聞かせて下さい。

全国の高裁判決は、国民会議HPの最新トピックスの判決日マップにリンクされています。

 

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