昨日発売の「AERA」(2013.7.29号)に1人1票に関する記事が掲載されました(同誌48~52頁)。
記事は、
『「どうせ、世の中変わりませんよ」
深夜1時。東京・六本木ヒルズのTMI総合法律事務所の一室。一人一票実現国民会議の共同代表であり、この運動の「いいだしっぺ」である弁護士升永英俊(71)の話を6時間ぶっ通しで聞いた揚げ句、口をついて出てきた言葉がこれだった。』
との書き出しで始まります(タイトルは「現代の肖像 弁護士升永英俊」、文=山田清機氏)。
平成23年最高裁大法廷判決、平成24年最高裁大法廷判決は、これまでの最高裁判決とは異なり、「人口比例選挙」判決を見据えた歴史的な判断を示すものでした。
今年3月には、2012衆院小選挙区選挙の裁判で、「人口比例の原則」を明言する下記の高裁判決が3つ言い渡され、その内の広島高裁岡山支部判決は、戦後初の「違憲・無効」判決でした。
福岡高裁平成25年3月18日判決: http://www.ippyo.org/topics/pdf/20130318003.pdf
名古屋高裁金沢支部平成25年3月18日判決: http://www.ippyo.org/topics/pdf/20130318001.pdf
広島高裁岡山支部平成25年3月26日判決: http://www.ippyo.org/topics/pdf/20130326001.pdf
2009年にこの運動を始めて4年経った2013年の今、明らかに状況は変わりました。
目標を達成する過程を登山に例えることがあります。
一人一票運動についても、「一歩、一歩、頑張って下さい」と声援をいただくことがあります。
登山では、9合目から山頂までの道のりは厳しい。
しかし、一人一票実現運動は、登山の如きではありません。
一人一票の雪だるまは、"清き0.4票"を「不条理のスタート」として、"1人1票"を「条理のゴール」とする不条理坂を転がりはじめ、あと、落差数メートルのところまできました。一旦、モーメントをもって転がりはじめた雪だるまは、だれも止めることはできません。
昨日、全国弁護士グループは、全47選挙区で、1票の住所差別による(即ち、人口比例の選挙区割りによらない)今回の参院選挙区選挙につき、選挙無効請求裁判を提起しました。
私は、14高裁・高裁支部の全部の裁判で「違憲無効」の判決がでると予想します。(その理由は、別掲する原告の主張をご参照下さい。)
私は、楽観論者です。
6/23のNYタイムズ紙の記事に加え、英エコノミスト誌でも、日本に於ける1票の住所差別の問題が報道されました。
これらの記事により、世界は、日本が民主主義国家でないことを知りました。
1人1票の問題は、国会議員(利害関係者)では解決できず、裁判所が解決すべき問題であることは世界の共通認識です。
世界が、次に言い渡される、日本の最高裁判決に注目しています。
NYタイムズ紙の記事(Martin Fackler記者): http://www.nytimes.com/2013/06/22/world/asia/a-daredevil-lawyers-biggest-test-yet-remaking-japans-democracy.html?pagewanted=all&_r=0
英エコノミスト誌:http://www.economist.com/news/asia/21580488-long-standing-unfairness-electoral-system-undermines-prime-ministers-promised-economic (日本語訳配信 by JPRESS: http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38175 )
参院選では、予定通り、7/22、全国一斉に全47選挙区で、1人1票裁判を提訴しました。
今回の選挙は、平成24年最高裁大法廷判決に違反する「4増4減」の下で行われました。
今回は、全選挙区で提訴しましたので、これまでの「事情判決の法理」は適用できないことになります。
「事情判決の法理」:提訴済み選挙区選出議員が無効判決で資格を失った場合、法改正が当該選挙区から選出された議員が存在しない状態で行われるなど、憲法の予定しない事態をもたらす不都合がある。それを回避するための法理論。
事情判決の法理の詳細は、一人一票実現国民会議の意見広告(2013/5/3付)をご覧下さい。
2013/5/3意見広告: http://www.ippyo.org/iken_koukoku/pdf/20130503001asahi.pdf
また、合理的期間論についても、同意見広告(2013/6/23)で詳しく議論しています。
2013/6/23意見広告:http://www.ippyo.org/iken_koukoku/pdf/20130626001asahi.pdf
平成24年最高裁大法廷判決は、【『投票価値の平等』に関する、2つの憲法上の基準】、即ち、
①「参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見出し難い」(同判決文11頁下10~下7行)
②「これ(都道府県。引用者注)を参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はな(い)」(同判決文11頁下2行~12頁3行)
を示しました。
ところが、本件選挙の「4増4減」は、(i)都道府県を選挙区の単位とするもので、かつ(ii)1票の格差(最大)は、4.75倍であり、'12/12月の衆院選の1票の格差(最大)・2.43倍に劣後するので、平成24年最高裁大法廷判決の示す上記①、②の2つの基準に違反します。
平成24年最高裁大法廷判決は、1人1票に近い判決です。80点です。
日本は平成25年最高裁判決で、1人1票の民主主義国家になると予想します。
私は楽観論者です。