第6 国民審査権は、日本国民の『参政権』である
日本国民(有権者)は、憲法79条2項、3項に基づき、夫々、最高裁判所裁判官に対する『国民審査権』(即ち、全国の投票済有権者の過半数の不信任投票により最高裁裁判官を罷免する権利)を有する。しかも、最高裁裁判官の国民審査権は、全ての有権者にとって、住所の如何に拘らず、100%「一人一票」である。
全有権者の過半数を占めている、一票未満の選挙権しか与えられていない有権者が、国民審査権を行使して、「一票の不平等」を定める公職選挙法を合憲とする『合憲意見』の最高裁裁判官を不信任とすれば、公職選挙法を違憲とする『違憲意見』が、全最高裁裁判官(15人)の中で多数派を占め得ることになる。このように、国民が、国民審査権を『参政権』であるとして自覚的に行使することは、有権者のレベルでの少数決で、立法し、行政府の長を決めている今の日本を、民主主義国家に変えることを可能にする。
日本国民にとって、国民審査権は、選挙権に並ぶ又はそれ以上に重要な『参政権』である。けだし、国民審査権の行使は、選挙権自体の一票の価値の不平等を平等にし得る権利だからである。