升永ブログ

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謹 賀 新 年 - 国会議員主権国家から国民主権国家へ -

謹 賀 新 年 - 国会議員主権国家から国民主権国家へ -

明けましておめでとうございます。

1人1票裁判(2021衆)の大法廷判決言渡期日は、2023年1月25日(水)15時に指定されました。
現在の日本は、非人口比例選挙なので、全国民の過半数の意見とは関係なく、国会議員が過半数決で行政権の唯一人の執行者(首相)を決定します。
即ち、日本は、「国会議員主権国家」です。
本件裁判の目的は、全国民の過半数の意見が国会議員が過半数の意見と一致する人口比例選挙を実現し、
「国会議員主権国家」から「国民主権国家」に変えることです。
いい判決に期待しています。

年始に当たり、下記1~5をご一読いただければ幸いです。

1 1992~2020年の29年間のOECD(38加盟国)の国際規格の平均給与(「Average Wage」)をみると、日本は、2020年で38,515米ドルです。この値は、韓、米、英、仏、独の5か国の各値に劣後します。
しかも、その日本の増加率は、同29年間で、わずか2.7%増でしかありません。同5か国の中の最下位の独国ですら、26.2%増です。
同29年間、日本人は、少しでも豊かになろうと精一杯努力してきた筈です。しかし、その成果がこれ(2.7%増)です。

国家権力行使の国民に対する影響の程度を見ると、私個人のざっくりとした肌感覚では、行政権・70%、立法権・25%、司法権・5%です。
行政権の唯一人の執行者(首相又は大統領)の決定の手続きを見ると、日本は、非人口比例選挙(1票の格差が2~3倍)で選出された国会議員の過半数決によって決定していますが、韓、米、英、仏、独は、全て人口比例選挙の結果の過半数決によって決定しています。

今から29年後に、日本が独国並みの平均給与26.2%増に達することを期待するとすると、私は、日本も同5か国と同様の人口比例選挙を採用する以外に方法はないと考えます。

2 人口比例選挙の同5か国は、全国民の過半数が行政権の唯一人の執行者を決定しています。即ち、同5か国は国民主権国家です。しかし、非人口比例選挙の日本は、全国民の過半数の意見とは関係なく、国会議員が過半数決で行政権の唯一人の執行者(首相)を決定します。即ち、日本は、国会議員主権国家です。
異様です。

3 公明、維新、社民は、11ブロック制選挙(①北海道、②東北、③北関東、④南関東、⑤東京、⑥北陸信越、⑦東海、⑧近畿、⑨中国、⑩四国、⑪九州の11ブロック)を提案しています(但し、たたき台が9ブロック案の共産は、11ブロックに歩み寄ることは可能でしょう。)。
人口比例選挙では、全人口の過半数(50.1%)が全国会議員の過半数を選出します。
11ブロック制は、全人口の49.85%が全国会議員の過半数を選出します。
11ブロック制は、概ね人口比例選挙です。
11ブロック制を採用すれば、日本は、国会議員主権国家から国民主権国家に変わります。

4  私は、2023年12月前後に、2022年7月参院選(選挙区)についての最高裁判決が言渡されると予想します。
私は、同判決は、「違憲状態」判決であろうと予測します。
国会が参院選挙制度の抜本的見直しを行わないまま、2025年7月参院選(選挙区)が行われる場合、私は、最高裁判所は、2026年に、「違憲」判決を言渡すと予測します。
その場合、選挙制度改革を巡って、各党の内外で、例えば、10合区賛成・反対の厳しい対立が予測されます。私は、最終的には、11ブロック制採用の法改正に至ると予測します。私は楽観論です。

5 投票価値の不均衡是正未達の選挙で選出された国会議員は、国会の活動の正統性を欠いています(平成26年最高裁大法廷判決の5判事の補足意見及び4判事の反対意見)。【国会の活動の正統性を欠く国会議員を含む国会が、改憲の発議をすること】 は、憲法違反です。

よき一年でありますよう祈念いたします。

2023年1月 弁護士 升永 英俊

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