私ども、全国弁護士グループは、2009年以降、全ての国政選挙毎に、全国の高裁・高裁支部で1人1票裁判を提訴しました。
そして、平成23年大法廷判決(衆)、同24年大法廷判決(参)、同25年大法廷判決(衆)、同26年大法廷判決(参)、同27年大法廷判決(衆)の5個の最高裁大法廷「違憲状態」判決が集積された結果、ようやく、平成28(2016)年改正法(平成28年法律第49号)が成立しました。
同法は、衆院小選挙区の議員定数を人口に比例して都道府県に配分する方式(アダムズ方式)を定めています。
平成28(2016)年改正法(アダムズ方式採用)により、2022年以降の衆院選から、全人口(125,342,377人。但し、総務省発表平成27年人口)の48.3%(小数点2桁以下四捨五入 以下、同じ)(60,535,720人)が、全衆院議員(465人)の過半数(234人。50.3%〈小数点2桁以下四捨五入 以下、同じ〉)を選出することになります。【下表参照】
ところで、人口比例選挙(一人一票選挙)では、人口の50%が、全衆院議員の50%を選出します。
従って、【平成28(2016)年改正法(アダムズ方式採用)により、2022年以降の衆院選から人口の48.3%が、全衆院議員の過半数(50.3%)を選出するということ】は、全衆院議員の過半数を選出するために必要な人口が、残余2.0%(=50.3%-48.3%)不足にまで肉薄していることを意味します。
但し、平成21(2009)年の時点では、全人口の46.4%(小数点2桁以下四捨五入)が全衆院議員の過半数を選出していました。
この1人1票裁判(人口比例選挙裁判)は、一部とはいえ成功し、【人口の2%(=50%-48%)不足の最後の溝】を埋めれば、人口の50%から全衆議院議員の50%が選出される衆議院をもつ国家が実現するところまで来ました。
とはいえ、2022年以降の衆院選で、人口の48.3%が、全衆院議員の過半数(50.3% 234人)を選出しても、法律の成否や総理大臣の指名のための衆院の決議において、実質的にみて、主権を有する国民(主権者)の多数決が保障されないことには変わりありません(即ち、憲法56条2項、憲法1条、憲法前文第1項第1文冒頭の【人口比例選挙の要求】に違反します)。
残りの2%の溝をなんとかクリアしたいと思っています。
【(表)議員の過半数を選出するために必要な人口・選挙人数の対全人口・選挙人数比(%)】
H21(2009) | H22(2010) | H29(2017) | 2022年以降 (アダムズ方式) |
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衆院 (小選挙区+比例) |
46.4% (資料③) |
47.0% (資料②) |
48.3% (資料①) |
|
衆院 (小選挙区) |
43.9% (資料③) |
44.8% (資料②) |
46.9% (資料①) |
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参院 (選挙区+比例) |
39.6% (資料④) |
45.1% (資料⑤) |
||
参院 (選挙区) |
33.0% (資料④) |
40.8% (資料⑤) |
(資料①)平成28年改正法(アダムズ方式)(衆院)(平成27年人口)【定数465(小選挙区:289、比例:176)】
(資料②)平成29年衆院選挙(平成27年人口)【定数465(選挙区:289、比例:176)】
(資料③)平成21年衆院選挙(平成21年9月2日現在有権者数)【定数480(小選挙区:300、比例:180)】
(資料④)平成22年参院選挙(平成22年7月11日現在有権者数)【定数242(選挙区:146、比例:96)】
(資料⑤)平成30年改正法(参院)(平成27年人口)【定数248(選挙区:148、比例:100)】
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